推奨評価について
今日、蔵元ごとひいては商品ごとに多様な風味の清酒が造られていますが、商品ラベルの限られたスペースの中でそれらの情報を網羅することは至難の業です。私たちでも初めて手にする商品のラベルからその清酒の風味を想像することは大変難しいことといえます。そこで私ども宮城県では、平成19年11月よりみなさまに日本酒を選んでいただく上で最も重要な、それぞれの商品の香りと味に関する情報をインターネット上で提供することと致しました。
「みやぎの酒 選り取りナビ」では、宮城県酒造組合員である蔵元が掲載を希望した純米醸造酒の商品情報を公開いたしております。清酒の香りはさまざまな香りが複合的に含まれていることも少なくありませんが、代表的な9つのタイプに類型化し、それぞれの商品における香りを構成する主要な要素について分類し、表現しております。味のタイプにつきましては「宮城県推奨清酒基準に係る情報開示ガイドライン」に基づく濃淡指数から「味の濃さ」分類(軽快~豊潤)を、シブ予測計数比から「味のやわらかさ」分類(キレがある~やわらかい)を、それぞれ4段階で行っております。これら味のタイプ表現は、各商品の酸味、旨み、そして甘味を示す分析値から求めた値に基づくものですが、これらの情報を応用することで「おすすめの飲用温度」と「料理との相性」の類推にも役立てていただくことが可能です。各自各様の日本酒との出会いを楽しんでいただければ甚だ幸いです。
また、「みやぎの酒 選り取りナビ」において提供いたしております商品情報については、県の指導機関職員と県酒造組合の技術職員、県内の清酒製造技術者十数名からなる「宮城県推奨清酒推奨評価会」を年4回開催し、3ヶ月ごとに更新いたしております。更に「香りのタイプ」と「味のタイプ」だけでは表現しきれない部分を補完する役割として、「ハード面の情報」である「製法の特徴」を「宮城県推奨清酒基準に係る情報開示ガイドライン」に自主基準を定め、表現しております。
全国各地で、任意の規格に対する商品の品質を保証するための審査を実施する事例は少なからずございますが、新鮮な商品情報を継続的に提供していくための取り組みについては現時点で宮城県だと自負していたしております。各蔵元の「個性」は商品により具現化され、それを以てお客様は商品を選ばれます。その「個性」を皆さまに知っていただく一助として、これからも情報の鮮度にこだわった商品情報の発信に努めて参りたいと存じます。
宮城県推奨清酒推奨評価委員長 橋本 建哉
(宮城県産業技術総合センター 総括研究員)