宮城の蔵元一覧
[ 加美郡加美町 ]
中勇酒造店
Nakayu Saké Brewery
主要銘柄
天上夢幻
文化発信の気概を胸に
伝統的な手づくりで醸す
米どころの酒
室町時代から戦国時代にかけて、加美町を含め一帯を平定していた奥州探題・大崎氏。中勇酒造店の蔵元・中島家は、その家臣の流れを汲む家系だ。現在は27代目に当たる中島崇文専務が秋冬は酒造りに、春夏は蔵の内外を走り回りながら企画や営業を行っている。
中勇酒造店の第1の転機は1980年代。当時はまだ一般的ではなかった吟醸酒を商品化したときだった。
ウイスキーブームに危機感を持った中島社長は「日本酒もロックでおいしく飲めるはず」
と一念発起。杜氏と話し合いを重ね、吟醸原酒を造った。
「淡麗辛口でありながら華やかな吟醸香を併せ持つ酒質が当時はなかなか受け入れられず、販売には相当苦労したようです」と中島専務は話す。発売開始から3年後、仙台の三越百貨店に置かれたのを機にようやく人気が出た。現在は「天上夢幻 吟醸原酒 超辛口」となり蔵の看板商品として人気を博している。
酒造りの文化携え
次なる視野は海外へ
そしていま、蔵はふたたび転機を迎えている。
「これからは海外へも目を向けていく時代。うちも現在は海外10か国に輸出をしています。海外でも良いものは評価していただける実感があります」
とはいえ、造りのやり方は今までと変わらない。手間をかけて生産された地元の米を使い、完全手づくり少量仕込みの酒造りを維持したまま、視野を世界へとシフトする。「メーカーには正しい文化の発信をする義務があると思っています」、そう話す中島社長は、蔵元としての哲学と信念を持ち、酒造りに取り組み続ける。
Information
蔵元情報
明治39年(1906)創業、年間生産量500石。蔵がある加美町は宮城県北部、大崎平野を流れる鳴瀬川の中流に位置し、西方に船形山を望み、大自然の恵みを受けた田園風景が広がる。「地元に愛され、誇れる地酒」をモットーに掲げ、現在は生産量の約80%が県内消費となっている。
蔵見学 | 可(要予約。日時により不可の場合があります。電話にてお問い合わせください) |
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蔵のイベント等 | 中新田ふれあい冬まつり(2月11日。酒蔵見学会あり[10時〜14時無料]) |