宮城の蔵元一覧
[ 加美郡加美町 ]
田中酒造店
Tanaka Syuzoten
主要銘柄
真鶴/田林
昔ながらの道具を用い
伝統の仕込み手法で
丁寧に仕上げる真摯な蔵元
美しい漆喰のなまこ壁、みごとな瓦屋根を備えた田中酒造店の母屋は、加美町の中心部でもほときわ目を引く、町のシンボル的存在だ。
造りの特徴は「山廃造り」による仕込みと、「蓋麹法」で行う麹造り。
山廃造りは酒母を仕込む伝統的な手法のひとつで、空気中から乳酸菌を取り込み、時間をかけて強い酵母を増やすやり方。乳酸を添加して造る一般的な「速醸もと」なら約2週間で酒母ができるのに対し、山廃仕込みの場合はその倍以上の約1ヶ月かかる。しかし、そうやって手間と時間をかけて造られる酒には奥深いコクと旨みがあり、のど越しなめらかに仕上がる。
一方、蓋麹法は「麹蓋」を使って小分けに麹を造る手法で、温度調節のために積み替える作業など手間がかかるものの、均一な麹に仕上げることができる。大吟醸の仕込みだけに用いる蔵も多いなか、田中酒造店では秋田杉の麹蓋を使い、全量を蓋麹法で仕込んでいる。
秘伝生もと造り
ぬる燗で本領発揮
田中酒造店では平成22年(2010)1月、宮城県の蔵元として67年ぶりに「生もと造り」を復活させた。米と麹に水を加え、先が斜めになった独特の形のかい棒ですりつぶす「もとすり」は、生もとならではの作業で、かなりの重労働。
生もとの酒は酸があり、ボディが重厚で濃醇。40〜43℃くらいのぬる燗で味わいが開くのが特徴。
ほかにも、今日ではあまり見られなくなった木製の道具を、丁寧に手入れしながら使い続けている。昔ながらの酒造りに正面から取り組む真摯な姿勢に、根強いファンが多い蔵元だ。
Information
蔵元情報

伊達藩政下で呉服商を営んでいた初代・田中林兵衛が、米の有効利用を期して寛政元年(1789)、酒造業に進出。加美郡の中心地だった中新田で「東華正宗」の銘柄を販売した。その後、東華正宗を愛飲していた中新田城主・只野図書の命を受け、銘柄は「真鶴」に改称された。
蔵見学 | 可(要予約。電話にてお問い合わせください) |
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蔵のイベント等 | 鍋まつりに合わせて蔵開き(2月11日) |