宮城の蔵元一覧
[ 気仙沼市魚町 ]
角星
Kakuboshi
主要銘柄
金紋両國/船尾灯/水鳥記
人々が集う場に和やかな時を供する地元とともに歩む酒
明治39年(1906)、斉藤家当主・斉藤太兵衛が酒造開始の醸造安全祈願を行ったとき、酒を満たした一升枡に、御神鏡を通して映り込んだ明けの明星。「角星」の屋号は、今日に伝わるこの吉事から誕生した。
当代の斉藤嘉一郎社長は、角星の酒の特徴を「香り、味が前に出過ぎず、新鮮な魚介類と合わせたときに邪魔にならず、それでいて酒の旨みを感じられる」と説明する。
「気軽に飲めてその場が和む酒であってほしい。楽しく飲んでもらえるのが何よりありがたいんですよね」
そうつけ加えた言葉に、これまで地元とともに歩んできた老舗蔵の矜持がにじむ。
「船尾灯」に導かれ
全国への出荷も視野に
東日本大震災では国の登録有形文化財に指定されていた本社屋が津波で全壊。やや小高い場所にある製造蔵はすんでのところで津波を免れたものの、搾りを数日後に控えたもろみのタンクが2本残った。停電のため大型の発電機を調達し、ようやく搾れたのは約2週間後。
「船尾灯(ともしび)」と名づけられたその酒には、全国から注文が舞い込み、ほぼ2カ月で完売した。斉藤社長は「未曾有の震災を生きのびた酒を、何とかみなさんのもとに届けたいと必死でした」と当時をふり返る。
震災前、角星の酒の出荷先は9割が地元だったが、震災で得意先の8割が被災。「今後、ここで仕事が続けられるのか」と不安に襲われたのもつかの間、復興支援の注文が各地から殺到した。震災後初めて角星の酒を仕入れ、その品質の高さを評価して定番にしてくれた酒販店や飲食店も多いとか。
こうした首都圏での評価を自信につなげながら、気仙沼の消費力が戻る真の復興の時を見据え、角星は酒造りを続けている。
Information
蔵元情報

呉服商、酢・麹製造販売業、塩問屋などを営んできた斉藤屋の14代・斉藤太兵衛が明治39年(1906)、岩手県折壁村でどぶろくの醸造を始め、その2年後に気仙沼に工場(太田地区)を移した。昭和4年(1929)の大火後、翌5年には同じ魚町の同所に本社屋を再建。平成15年(2003)に国の登録有形文化財に指定された。
蔵見学 | 可(要予約。1団体10名まで、1月〜3月の月曜〜金曜) |
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蔵のイベント等 | 地米酒づくり(市内耕作地での春の田植えから翌年の風味会まで、その都度参加できます) |