宮城の蔵元一覧
[ 大崎市三本木 ]
新澤醸造店
Niizawa Brewery
主要銘柄
伯楽星/愛宕の松
蔵も人も日々進化
伯楽の目で醸す
究極の食中酒
大崎市三本木で約140年間酒を醸し続けてきた新澤醸造店は、東日本大震災で蔵が全壊、壊滅的な打撃を受けた。
しかし、社長兼杜氏の新澤巖夫さんの動きは速かった。平成23年(2011)7月、製造部門の移転を決意し、同年11月には山形県との県境に位置する川崎町で酒造りを再開した。新澤社長は「いくつかの選択肢があったなかで、一番パワーがいる決断をした気がします。非常に緊張したし、覚悟もしました」と移転を決断した当時の心境を語ってくれた。
進化した「伯楽星」
芯強くきれいな酒に
移転後、とくに力を注いできたことのひとつが設備の充実だ。0・1℃刻みの温度調整ができる釜で蒸し上がった米は、さらさらして芯まで熱く、香りは甘い。そして、その蒸米でできた麹の手ざわりは驚くほど軽い。「軽くて、握ったときに弾力がある。これがうちのベストの麹です」と、新澤社長は生き生きとした表情で話す。
川崎町の新たな環境は、看板銘柄「伯楽星」にどんな影響を与えたのだろう。
「よりきれいな酒になりました、間違いなく。ベースはもちろん究極の食中酒ですが、芯の強さというか、細いけれどピーンと立っている感じがあります」と新澤社長は胸を張る。
震災後、休むことなくひたすら突き進んできたように見える新澤醸造店だが、まだまだやりたいことがあると新澤社長は話す。「三本木でできなかったことばかりをやっているいま、酒造りが楽しいし、やりたいことができる幸せを感じています。それがどんどん酒質に出てくるのがまた楽しいんです」。
笑顔でそう語ったあと、新澤社長は表情を引き締めてこうつけ加えた。
「人生を充実したものにしたい。醸造家として悔いのない時間を過ごしたいんです」
Information
蔵元情報

明治6年(1873)創業。地元で親しまれてきた「愛宕の松」は、『荒城の月』の詩人・土井晩翠が「館山の頂開く酒むしろ愛宕の松の薫いみじく」と詠むほど愛飲したという。平成12年(2000)に新澤巖夫現社長が宮城県最年少の杜氏に就任。翌年には特約店限定の新銘柄「伯楽星」を発表。東日本大震災後は製造蔵を川崎町に移転、全壊した本社も平成25年8月に再建を果たした。
蔵見学 | 不可 |
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蔵のイベント等 | 穣の宴(11月上旬・仙台市にて〔酒造組合イベント〕) |