宮城の蔵元一覧
[ 名取市閖上 ]
佐々木酒造店
Sasaki Shuzoten
主要銘柄
宝船浪の音
「もう一度閖上で酒造りを」
工夫をこらした仮設蔵で
再起を誓う兄弟の想い
閖上の海岸から1.5km。佐々木酒造店はこの地で140年の歴史を持つ造り酒屋。兄・洋さんは蔵の統括を担う専務、弟・淳平さんは杜氏を担当。兄弟が二人三脚で酒造りに取り組んでいたところに、高さ5mの津波が容赦なく押し寄せ、蔵も店舗も全壊した。
それでも「酒造りをやめない。必ず蔵を再建する」と宣言した2人のもとに、全国から次々と支援が届いた。佐々木専務は当時の心境をこう説明する。
「阪神淡路大震災で大きな被害をこうむった蔵元さんからは、『蔵や地酒はその土地の文化。文化を失えば町も消えてしまう。くじけず、いまできることを少しずつ積み重ねましょう』というメッセージをいただき、ずいぶん支えになりました」
仮設蔵での酒造りで
真の復興に向け新たな一歩を
現在酒造りを行っているのは、名取市復興工業団地(名取市下余田)内の仮設工場。温度管理がしやすいよう断熱効果の高いウレタン材で壁面全体を覆った工場内に、県内の蔵や九州の焼酎蔵から寄贈を受けた機材が整然と並ぶ。
「日本酒の歴史において、仮設蔵での醸造はかつてなかったはずです。温度管理がカギを握る酒づくりを、果たしてこの環境下でできるのか、そんなところからのスタートでした。だからこの仮設蔵にはさまざまな方からの支援とアイデアが詰まっています。何年先かわからないけど、絶対閖上に帰って酒を造ります。どんなことがあっても気持ちさえ折れなければ何とかなることを震災で学びました」
故郷の復興に想いを馳せ、新天地で一歩を踏み出した2人の瞳には、力強い意思が漲っている。
Information
蔵元情報

明治4年(1871)創業。東日本大震災で蔵が全壊、名取市復興工業団地に仮設工場を建設して酒造りを再開。平成24年(2012)は、津波被害をのり切ったタンクから純米酒を汲み出し、森民酒造本家(仙台市若林区)にろ過・瓶詰めを依頼して出荷。翌年、震災後初の蔵出しを実現した。
蔵見学 | 可(要予約。電話にてお問い合わせください) |
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